遺留分を侵害された場合は、相手方である相続人に対して遺留分侵害額請求をして遺留分を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求をするためには、まず遺留分がどれくらいあるのかを正確に確認することがとても重要です。

そこで今回は、遺留分の計算方法や法改正によって変わる遺留分侵害額請求、遺留分侵害額請求のやり方について解説します。

ステップ1:遺産総額を計算する

遺留分を計算するためには、基礎となる遺産総額を計算する必要があります。遺産総額は、相続発生時に存在している財産だけに限らず、一定の生前贈与や負債などについても相続財産に含まれるため漏れないよう注意が必要です。

遺産+生前贈与-債務=遺産総額

遺産総額に含まれる生前贈与とは

生前贈与については、すべてが遺産総額に含まれるわけではありません。特定の相続人に対する生前贈与において、相続財産に持ち戻して計算することになる生前贈与のことを「特別受益」といい、特定の相続人に対する次のような贈与をいいます。

結婚資金の贈与

結婚するにあたって結納金や挙式費用として、一定の贈与を受けている場合は特別受益として相続財産に含めて計算される可能性があります。ただし、すべての相続人が平等に援助を受けていたような場合は、考慮しないこともあります。

私立大学などの学費

学費を親が負担することは当然ですが、子供の中で学費に費やされた金額に大きな格差があるような場合については、特別受益として扱われる可能性があります。

家の購入代金

マイホームを購入するにあたって資金援助を受けていたような場合については、特別受益として持ち戻しの対象となる可能性があります。

特別受益については、原則として相続開始前10年間にされたものに限り遺留分算定の基礎になります。

債務とは

相続財産から控除する債務とは、被相続人の借金すべてが含まれます。クレジットカードのローンやキャッシング、他人からの借入など、返済が必要なものは漏れなく確認が必要です。

また、住宅ローンについては、団体信用生命保険に加入していると、死亡によって保険金が下りてローンが完済されますので債務にはカウントされません。

財産調査は弁護士に依頼した方が確実です

このように遺産総額を計算するためには、生前贈与や債務についても徹底して調査しなければならないため、一般の方にとっては大きな負担となるばかりか、ミスや漏れが出てくることが多々あります。

遺産総額の計算を間違えてしまうと、遺留分侵害額請求をする遺留分自体も誤ってしまうため、本来もらうことのできる金額よりも少なく請求してしまうといったリスクがあるのです。

当事務所はこれまで1,200件を超える相続案件に携わってきておりますので、可能な限り正確な遺留分を計算できる十分な遺産調査能力がございます。

特に、遺留分侵害額請求をするような状況では、相続人同士の関係が悪化している場合も多く、遺産の全容を隠されるケースも少なくありません。弁護士であれば、遺産を隠蔽されそうになっても、法的手続きによって開示を要求し、正しい遺留分を計算することが可能となることがあります。

ステップ2:遺留分割合にあてはめる

遺留分については、相続人の組み合わせによって次のように割合が異なります。

配偶者のみor子供のみ・・・1/2
配偶者と子供・・・配偶者1/4、子1/4
配偶者と直系尊属・・・配偶者1/3、直系尊属1/6
直系尊属のみ・・・1/3

例えば、遺産総額が2億円だった場合、遺留分の金額は以下の通りです。

配偶者のみor子供のみ・・・1億円
配偶者と子供1名・・・5,000万円ずつ
配偶者と直系尊属1名・・・配偶者6,666万円 直系尊属3,333万円
直系尊属のみ・・・6,666万円

発見された遺言書に「すべての遺産を配偶者に相続させる」と記載されていたとしても、子供や直系尊属については、上記の遺留分が保護されているため、遺留分侵害額請求をすることで取り戻すことができることがあります。

遺留分侵害額請求とは(法改正)

法改正の前は、遺留分侵害額請求は「遺留分減殺請求」となっていました。遺留分を取り戻すことができましたが、対象となる財産が現預金以外だと返還が難航するケースがありました。

例えば、不動産相続において遺留分減殺請求をすると、返還を受けられるのはあくまで「現物」に限定されていたため、不動産を分割するか共有するといった方法でしか解決することができませんでした。そのため、請求することで財産価値そのものが低下してしまうという課題があったのです。

この点についてこのほど法改正がなされ、遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に変わることになりました。

遺留分侵害額請求は金銭のみ

遺留分侵害額請求では、対象となる相続財産が不動産などだったとしても、現物での返還は行わず、遺留分相当額の金銭の返還のみ請求できるようになりました。

これにより、手続きが煩雑で資産価値が低下するリスクのある現物の返還ではなく、シンプルに金銭債権として解決できるようになったのです。

遺留分侵害額請求のやり方とは

遺留分侵害額請求は、特段の方法は決まっていないので口頭で請求することも可能です。

ただし、自分に対する遺留分の侵害を知った時から1年、または、相続開始から10年で時効にかかって消滅してしまうため、通常は内容証明郵便で送付して記録を残すことが一般的です。

遺留分侵害額請求は当事務所にお任せください

遺留分侵害額請求をする場面というのは、相続人同士でもめているケースが多いため、感情論になって争いが大きくなる前に当事務所までご相談ください。

当事務所にご依頼いただければ、相続の経験豊富な弁護士が、ご依頼者様の代理人となって迅速に対応いたします。

初回相談料は無料ですので、できる限りお早めにご相談ください。

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