相続税の申告書を作成するためには、相続税法などの高い専門性が必要であるため、たいていの場合は税理士に依頼することが多いと思います。

相続税の申告に係る税理士の報酬額は、事案の難易度や財産の規模により一概には言えませんが、過去に税理士会が規定していた“税理士報酬規程”が参考になります。

例えば、相続人が2人であり、相続財産が9000万円であった場合は、以下のとおり123万円と計算することができます。(複雑な事案でないことなどが前提)

項目 金額 計算過程
税務代理報酬 82万円 10万円+60万円+ 12万円(60万円×10%×2人)
税務署類の作成報酬 41万円 82万円×50%
合計 123万円

上記のとおり税理士の相続税申告報酬を123万円とすると、相続人が2人なので、1人あたり約60万円になります。

仮に”争続”であることなどを理由に相続人が単独で税理士に相続税の申告書作成を依頼した場合はどうなるでしょうか。相続税の申告書を作成するために行う税理士の作業は依頼する相続人の数が少なくなったからといって減るわけではありません。そのため、相続人の数は相続税申告報酬額にはほとんど影響はありません。
したがって、“争続”下における相続税申告書の作成は相続人それぞれ単独で行うため、上記の報酬額を1人で負担することとなります。この事例では相続人2人が共同で申告報酬を負担するときよりも60万円多く負担しなければならなくなります。

このように“争続”下において相続人がそれぞれ単独で相続税の申告書を作成・提出することは、税務調査の可能性が高まり、追加の納税が必要というだけでなく、税理士報酬の負担も多くなることに注意しなければなりません。