ご依頼の背景
母と長女が居住していた土地建物について父が亡くなったにもかかわらず、名義変更しないままになっていたところ、長男も亡くなってしまいました。
長男が亡くなる前に、長男と長男の妻が別居状態になっており、長男が入院するようになって以降の長男の預貯金や出費の管理は長女が行っていました。
長男が亡くなった後、長男の妻の弁護士から母と長女に対し依頼を受けたとの通知が届いたため、自分たちで弁護士と交渉を行っていくのは困難であるとして、母と長女から弊所にご依頼いただきました。
依頼人の主張
不動産については、依頼者である母と長女が同居していましたが、代償金の支払が困難であることや、従前より転居を検討していたことから、売却して売却代金を法定相続分に応じて分割する。
車については、名義は長男であるが、購入代金を支出していたのが母であったことから、母の財産として遺産分割の対象とはしない。
預貯金については、一部に母が長男に預けていたお金を預金していたものがあり、その預貯金については母の財産として遺産分割の対象とはせず、その他の預貯金については亡くなった時点の残高を法定相続分に応じて分割する。
サポートの流れ
長男の妻の弁護士に対して依頼者らの意向を伝えたところ、長男の妻の弁護士より、車に関しては母が支出した根拠となる資料がないため母の財産とは認められないこと、預貯金に関しては長男が亡くなる直前の出金に長男が支出したのか不明な点があり説明を求めること、不動産に関しては依頼者らが取得し代償金の支払を望むこと、という主張がなされました。
これに対し、預貯金の出金に関しては長女が行っていたものの全て長男の治療等のための支出であることを根拠資料を示して説明しました。
また、不動産については、代償金の支払では不動産の評価をめぐって争いになる可能性があり、不動産の評価がより客観的となる売却しての分割を望むということを伝えました。
結果
車に関しては、母が支出した根拠資料がなかったため、代償金を支払って母が取得することとしました。
また、預貯金に関しては、母が預けていたお金を入金していた口座は母が取得し、それ以外の口座については法定相続分に応じて分割しました。
不動産については、売却してその売却代金を法定相続分に応じて分割することになりました。以上の内容で、遺産分割協議が成立いたしました。