ご依頼の背景
被相続人には子が二人いました。
遺産としては、不動産と被相続人が生前代表者を務めていた有限会社がありました。一方で、被相続人が代表者を務めていた有限会社には借入がありました。
相続人は、なんとなく会社での借入の存在があったこと、当該借入について被相続人が代表者保証をしていたことを記憶していたため、積極的財産である不動産と、消極的財産である会社の借入についての保証債務のいずれが大きくなるかで相続放棄ををするか否かを判断する必要がある状況でした。
また、第一順位の依頼者らが相続放棄をした場合、被相続人の兄弟が第二順位相続人となり、仮に負債が多い場合には、第二順位相続人にも迷惑がかかるため、当該相続人らにも連絡をして方針確認をする必要がありました。
そこで、被相続人個人及び被相続人が代表者を務めていた有限会社の資産状況の確認の必要があるとして、弊所にご相談に来られました。
依頼人の主張
債務超過になるのであれば、第二順位相続人も含めて相続放棄することになると思われるので、昔の資料しかないが、それをヒントに債務額を特定して欲しい。
サポートの流れ
借入額等を調査するには、信用情報管理機関に信用情報の照会を依頼する必要があります。
具体的なものとしては、JICC(消費者金融との取引履歴等)、CIC(クレジットカードや信販会社との取引履歴等)、KSC(銀行や信用金庫との取引履歴等)に信用情報を照会して確認することになります。
もっとも、法人の信用情報については、上記機関において取扱いがないものもあるため、この場合は、過去の資料からヒントを探り、調査することになります。
本件においても、過去の資料をヒントに、関係各所に連絡をして債務確認を行いました。
結果
調査の結果、債務超過であることが判明し、全体として相続放棄をする方針が決定しました。
債務調査に並行して、第二順位相続人への連絡等も行っていたため、債務超過が判明した時点から迅速な相続放棄手続を行い、第二順位相続人についても順次相続放棄手続を行いました。
債務調査には、ある程度時間がかかるため、原則3か月とされる相続放棄期間の延長手続をとり、その間に無事に第一順位相続人及び第二順位相続人の相続放棄が完了しました。