ご依頼の背景
夫が亡くなり、相続人は、後妻である依頼者と夫と前妻との間の子の二人のみでした。依頼者は夫と婚姻して同居していましたが、夫は前妻の子とは10年以上にわたって連絡すら全くしておらず、夫が病気になり入退院を繰り返すようになって以降も、夫の世話は全て依頼者が行っておりました。依頼者としては、前妻の子とは全く面識もなく、自分自身で連絡をして遺産分割協議をするということになると、精神的負担がかなり大きいことから、当事務所に遺産分割協議を依頼しました。
依頼人の主張
依頼者は、生前に夫から、前妻の子とは長期間にわたって連絡すらとっていないことから、全ての財産を依頼者に譲りたいということを聞いていたため、可能な限りその夫の意思を尊重したいと考えており、また夫の世話を全て依頼者がしていたことから、依頼者が法定相続分よりも多い相続分を得るような内容で分割するようにしてほしい。なお、前妻の子が争った場合には、法定相続分に従った分割でもよいとは考えているが、その場合、夫の遺産のうち、遠方にある不動産で売却が困難なものについてはできれば相続したくない。
サポートの流れ
前妻の子に対し、夫が亡くなったこと、夫の遺産の内容を連絡しました。その際、前妻の子がどのような意向をもっているかが全く不明であり、上記のような、法定相続分よりも多い相続分で分割するという依頼者の希望や、遠方の不動産は取得したくないとの依頼者の希望を前妻の子に伝えてしまうと、前妻の子との協議が困難になる可能性がありましたので、そのような希望については一切伝えずに、依頼者が夫の世話をしてきたことのみを伝え、この遺産分割協議について前妻の子がどのように考えているかを聞くようにしました。
結果
前妻の子に連絡をし、上記のように伝えてその意向を確認したところ、自分は父親とは長期間音信不通となっており、父親のことは全て依頼者に任せるような状態になっていたので、自分は全く相続しなくてよいという回答でした。そこで、依頼者の当初の希望のとおり、全ての遺産を依頼者が相続するという内容で遺産分割協議が成立しました。