ご依頼の背景

被相続人には家族がおらず、亡くなる直前まで後見人がついていました。

被相続人が亡くなった後、後見人による終了業務がなされていましたが、その途中で相続人の一人が亡くなり、さらに相続が発生した状況でした。

その相続人の一人は、被相続人に対して金銭を貸し付けており、その一部だけでも回収を行いたいと考えていました。

しかしながら、以前の相続でもめていた家族とは連絡をとっていない状況であり、自分たちで相手方と交渉することは困難であると想定されたため当初から弁護士事務所に依頼することとなりました。

相続人は合計10名となっており、そのうち7名とは話がついていたことから、残り3名を相手方として交渉を依頼されました。

依頼人の主張

相続人から被相続人に対して金銭を貸し付けていたことについて、できることなら遺産から回収を行いたいというものでした。

もっとも、貸付を行っていたという証拠は被相続人との手紙だけであり、貸付を行ったのも10年以上前であったことから時効が成立しているものでした。

この点については、依頼者も理解をしており、それでも話し合いでいくらかだけでも回収を図りたいという主張でした。

サポートの流れ

相手方3名に対して、相続財産の開示と貸付金が存在しているということを書面で伝えたところ、相手方1名に代理人、相手方他2名には別の代理人が就任することとなりました。

その結果、弊所と合わせて代理人3名での遺産分割協議を行うこととなりました。

まずは代理人間において争点の把握、遺産の概要などを確認しました。特に問題となったのは、被相続人に相続人からの貸付金以外の借金はないのかという点でした。

この点については、被相続人に後見人がついており、後見人にも直接連絡を行い確認することができました。貸付金については、手紙の存在などから相手方3名についても遺産から回収して問題ないということで話をまとめることができました。

結果

遺産分割協議自体は早急にまとまり、不動産の処分、預貯金の解約手続きなどを行いました。

不動産の処分については、弊所及び相手方代理人においてより高額で買取がなされるように複数の不動産会社に照会をかけて、最終的には入札の方式で売買価格を確定しました。

また、相続人10名のうち遠方にいる相続人も多数いたことから、登記変更については司法書士を介して書面でのやり取りがなされました。

預貯金の解約手続きの行う中で、新たに出資金があることが判明しましたが、代理人間で協議を行い新たに合意書面を作成することで問題なく遺産を分配することができました。