ご依頼の背景
依頼者の兄が亡くなりましたが、兄は自筆証書遺言を遺していました。兄の遺した自筆証書遺言によると、兄の財産を全て相続人以外の特定の第三者に遺贈することとされていました。
もっとも、兄には認知症の症状が見られ、遺言能力が疑われるところでした。
そこで、遺言の有効性にについて明らかにすべく、ご依頼をいただくことになりました。
依頼人の主張
依頼者の兄には認知症の症状が見られ、遺言能力があったか疑わしいと考えられたことから、依頼者としては、兄の遺した自筆証書遺言の有効性を明らかにするとともに、遺産分割する遺産が残る場合には遺産分割したいとの意向をお持ちでした。
サポートの流れ
まずは依頼者の兄に遺言能力があったのか明らかにすべく、兄のかかっていた病院や施設に照会をかけ、開示された資料を検討しました。
そうしたところ、遺言執行者が指定された旨の連絡を受けたことから、遺言執行者に対しては自筆証書遺言の有効性に疑義があることから遺言執行を待つよう働きかけるとともに、早々に遺言無効確認訴訟を提起しました。
遺言無効確認訴訟では、兄の遺言能力の有無が真っ向から争われましたが、訴訟係属中に共同相続人が亡くなり、依頼者自身もご高齢という事情があったことから、相続人全員の意向を確認したうえ、遺言の有効性を徹底的に争うことはせず、和解により早期に解決を図ることとしました。
遺言無効訴訟について和解により解決した後、遺産分割する遺産が残ったことから、依頼者をはじめとする相続人間で遺産分割協議をすることとなりました。
結果
依頼者をはじめとする相続人のほとんどがご高齢であり、相続人間で遺産分割協議を始めてからも相続人が亡くなり二次相続が発生するなどしました。
連絡の取れない相続人もおりなかなか遺産分割協議が整いませんでしたが、そのような相続人については自宅を訪問して遺産分割協議について説明するなどして、各相続人が法定相続分に応じた分配を受けることで全相続人の合意が得られました。
そこで、遺産管理人を指定する内容の遺産分割協議書を作成して預貯金の払戻を受け、法定相続分どおりに分配することができました。