ご依頼の背景

妻が遺産は全て夫に相続させる旨の自筆証書遺言を残して亡くなったため、妻の遺産である預貯金の全ての解約手続きをするなどにより夫が全て取得していたところ、妻の母の弁護士から妻の遺言の効力を認めない可能性があることを示唆するとともに、遺留分減殺請求権と行使するとの通知が届きました。

そこで、夫自身で弁護士と協議を進めることは難しいと考えたために、弊所にご依頼いただきました。

依頼人の主張

妻が作成した自筆証書遺言は家庭裁判所の検認も経ており、有効性に問題はない。遺留分減殺請求に関しては、亡くなった時点の妻の預貯金残高から妻の母の遺留分(6分の1)相当額を支払う。

サポートの流れ

妻の母の弁護士に対し、妻が作成した自筆証書遺言は何ら問題がなく有効であること、またそれを前提に亡くなった時点の妻の預貯金残高から妻の母の遺留分(6分の1)相当額を支払う意向であることを伝えました。

これに対し、妻の自筆証書遺言の有効性についてはそれ以上問題にはなりませんでしたが、妻の相続財産に関して、妻が妻の母に無断で妻の母の預貯金を出金しており、その出金は不当利得に該当することから、妻の母の妻に対する不当利得返還請求権を夫が相続しているため、遺留分とは別に返還するよう求められました。

夫に確認したところ、妻の母の預貯金を妻が出金していたことは事実でしたが、妻が妻の母の身の回りの世話をするために必要な日用品や衣服を購入した際に出金していたものであり、妻の母の承諾を得て出金及び使用したものであるとのことでしたので、その旨を伝えて不当利得には当たらないと主張しました。

結果

夫としては裁判までは全く望んでおらず話し合いによる早期解決を望んでおりました。

そこで、妻の母が主張する不当利得について、一部譲歩して合意できないかを妻の母の弁護士と協議した結果、妻の母が不当利得として主張していた金額の約3分の1を、妻の母の遺留分相当額とともに夫が支払うという内容で合意が成立いたしました。

そこで、改めて妻が作成した自筆証書遺言が有効であることを確認するとともに、上記内容で夫が妻の母に支払うという内容で合意した書面を作成いたしました。