ご依頼の背景
被相続人である依頼者の祖父が亡くなった後、被相続人名義の不動産の処遇が決まらないままになっており、気が付けば被相続人のひ孫世代まで共有持分を有する状態になっていました。
そのため、これ以上共有者が増える前に遺産分割協議をして不動産の処遇を決めたいとのことで、遺産分割のご依頼をいただくことになりました。
依頼人の主張
被相続人が亡くなられて以降、被相続人名義の不動産に課される租税は全て依頼者の母親および依頼者が負担してきました。
そのため、依頼者としては、できる限り代償金を支払うことなく(仮に支払うとしても小額にとどめ)、被相続人名義の不動産を依頼者名義に変更することを希望されていました。
サポートの流れ
被相続人の相続人(数次相続の相続人を含む。)を調査し、今回遺産分割の当事者となるべき者を検討したところ、被相続人の子世代、孫世代、ひ孫世代と合計10人以上いることが判明しました。孫世代、ひ孫世代となると、相続人のこと全く知らないことも予想されました。
そこで、交渉開始時に各相続人に対して送付する通知書(手紙)には、各相続人と被相続人との関係性が分かるように記載を工夫しました。
そのうえで、被相続人名義の不動産の中にはほとんど価値がなく処分に窮すると思われるものも複数含まれたことから、不動産に課される租税の負担関係を具体的に説明したうえ、被相続人名義の不動産を依頼者の名義に統一することは相手方である各相続人にとっても望ましいと考えられることを具体的に説明しつつ交渉を進めました。
結果
相手方である各相続人と交渉した結果、一部いわゆるハンコ代が必要となりましたが、ほとんどの相続人は、これまでの租税の負担関係や今後の負担を考慮し、被相続人名義の不動産を依頼者名義に統一することに同意されることになりました。
今回は、数次相続が絡んでくる事案であり、また、一部戸籍類を収集できない事案であったことから、司法書士とも連携して遺産分割協議書を作成しました。
そのうえで、相続人の数が多く1通の遺産分割協議書に全員に署名してもらうことになるとかなりの期間を要することが予想されたことから、各相続人分の遺産分割協議書を準備し、各相続人からそれぞれ取り付けることとしました。
その結果、依頼者の希望どおり、ほとんど代償金を支払うことなく、被相続人名義の不動産を依頼者名義に統一することができました。